P35 車がないと・・・ "母と妻と女の狭間で"

P35 車がないと・・・ ”母と妻と女の狭間(はざま)で・・・” 留学時代・出会い青春編

朝日

 結局その日は、空がオレンジ色に輝くまで、
みんなと騒いだ。

 行く前は、すごく心配でたまらなかった
日本人の友達たちも、お酒のせいかはわからないけど、
あの夜は確かに、みんなが楽しんで、
完全にパーティーに溶け込めたと思う。

 私も、ちょっと偉そうだけど、
姉の気持ちで、ホッとひと安心。

 これで、少しは日本人の友達たちも、
アメリカの風景に溶け込めたんじゃないかな?

 土曜日の午前中は、みんなのんびり。
10時過ぎにブランチを食べて、末っ子のJoy と
遊んでたら、電話が鳴った。

「ねー、日本食、食べに行かない?」

 寧子からだった。

「え?近くに日本食、食べられるところがあるの?」

私が聞き返したら、

「あるんだって、私のママが言ってた」

 それは、寧子のホストファミリーのお母さんの事で、
つまり、”アメリカのお母さん”ってこと。

 まだアメリカに来て一ヶ月だったけど、
確かに日本食が恋しくなって来たところだった。
 
「うん、いいよ。行こうよ!」

 私は、返事をしたものの、移動手段がないことに気がついた。

「ああ、それなら大丈夫。
ミチさんが車買ったから。」

 ”ミチ君”って、21歳の日本人。
大学の夏休みを利用して、語学留学をしに
私達と一緒に来て2ヶ月間いるみたい。

「へ~、お金持ちだね」

 て、私が寧子に言うと、

「だって。ここっっておっきな丘の上に出来た街でしょ?
坂ばかりで、自転車も余り役に立たないし、
それに、サマーバケーションの間は、
大学内の唯一のお食事処、”カフェテリア”も
お昼以外は閉まっちゃうし、車がないと生活できないって、
両親に言ったら、すぐにお金を送金してくれたんだって」
 
 なんだか、私以外はみんなお金持ちに思えてきた。

「へ~、わかった。じゃあ支度して待ってるね」
 
 そう言って電話を切った。
私は久しぶりの日本食にワクワクしてた。

 その一方で、

「寮に住んでて、お昼以外は、
どうしてるんだろう?」

 ふっと、心のどこかであさひの食事のことが気になった。

image©“PickupImage”

written by 透明[とうめい] ゆき

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12月 30th, 2015 by