P61 出発 "母と妻と女の狭間で"

P61 出発 ”母と妻と女の狭間で”

出発

「お別れが辛くなるから、黙って行こうと
思ったのに・・・」

 いったん出始めた晴美の涙は、透明で純粋な
泉から溢れ出る、美しい湧き水のように、
止まらなくなっていた。

「なんでだよう、せっかく仲良くなったのに・・・」

 寧子が、激しい嗚咽で、言葉にならない熱い
気持ちを、やっとの思いで絞りだすと、

「いろいろありすぎて、勉強できなくなっちゃって、
ここにはいられなくなったの」

 と、晴美は晴美自身にしか、わからない気持ちを、
独り言のように、つぶやいた。

 そう言ったあと晴美は、極大日の流星群のように、
あとからあとから、止めどなく涙を流した。
 
 私は、2人のやり取りを見ながら、妙に冷静に、
あることを考えていた。

〈やっぱりあさひのことが理由なのかな?〉

 2人の激しい泣き顔を見ても、不思議と
涙は出なかったし、残念だと思ってたけど、
そこまでの寂しさは、感じなかった。

〈晴美はいなくなるのか・・・〉

 それは、私にとって、明るい材料で、
心の中は、どこまでも雲ひとつない、
クリアーな青空が広がっていた。

 2人は、10分くらい泣いていただろうか、
それでも、なんとか落ち着いて、少し冷静に
話し始めた。

「もう、行っちゃうんだよね」

 寧子が言うと、晴美が、

「ごめんね、でもまた帰って来るかもしれないし・・・」

と、あとは口ごもった。

 そこへ、H’ファミリーのお父さんが、

「晴美、準備出来たよ!」

 って、声を掛けた。
それを聞いて晴美は、

「ありがとう、そろそろ行くね」

 そう言って、車の方に行きかけた。
車に乗り込む寸前、晴美が振り返り、

「あのさ?」

と、質問してきた。

image©“Brett Jordan”

written by 透明[とうめい] ゆき

1ページ目から見る人の、P1リンク

この物語はフィクションです
写真・画像は参考のため、本文とは一切関係ありません
|Mail to info@love-life.lovepop.jp
|link Wheel news- Drift Car & Bike
|diary 日記 / アメブロ
|Copyright © 2014 Tomoyuki.O All Rights Reserved.|





1月 14th, 2016 by