B:123ページ 責める "母と妻と女の狭間(はざま)で・・・" 留学時代・同棲編

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 もうすぐ閉館の11時45分くらいにやっと、
あさひが戻ってきた。  

「晴美、帰ってきたんだ。びっくりしたね」

 あさひにそう言ってみたものの、あさひ
からの返事はなく、無言で教科書をブック
ストラップにまとめて、まるで私のことが
見えないかのように急いで図書館から出て
行った。
 今度も、私は一人図書館に取り残されて、
これからのことを思うと、目の前が真っ暗
になった。

 とりあえず一人でアパートに帰るしか無
かったから、荷物をまとめて図書館を出よ
うと出口に向かった。

 外に出ると、いつものようにケンジ達は
いなくて、ミチと寧子が外にいた。

「どうしたの?」

 私が聞くと寧子が、

「さっきAshが来て、用事があるから、
あんたを送ってくれって頼まれたんだよ」

 ああ、まったく無視されたわけじゃなく
て、一応気は使ってくれたんだ。
 それはそれで嬉しかったけど、あさひが
晴美と一緒にいるのは避けられない事実で、
そのことが私の心に、真っ黒な影を落とし
ていた。

 私の沈んだ顔を見て、何かあったことを
察した寧子が、

「なんかあった?」

聞いてきた。

 そこで、私は正直に「晴美が帰って来た」
と言うことをためらった。
 もし、そう言ってしまえば、寧子は絶対、
あさひを責めるから。

 もともと、あさひと晴美は相思相愛で、
その間に割り込んだのは私だから。

 それを思うと、一方的にあさひだけが責
められるのは、私自身罪悪感があった。

image©“Khánh Hmoong (改変 gatag.net)”

written by 透明(とうめい) ゆき

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この物語はフィクションです
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5月 12th, 2016 by