B:126ページ 運命の出逢いのように "母と妻と女の狭間(はざま)で・・・" 留学時代・同棲編

B:126ページ 運命の出逢いのように ”母と妻と女の狭間(はざま)で・・・” 留学時代・同棲編

運命の赤い糸

「車がないってことは、あさひもいない」

 そう思った瞬間、ほっとしたのか、自然
と涙が頬を伝った。

 自分でも気が付かなかったけど寧子が、

「ちょっと、あんたなんで泣いてんの?」

 そう言われて、初めて自分が涙を流して
ることに気がついた。

「あれ、なんでだろ?」

 そう言ったものの、あさひがいなかった
ことで、涙がでるくらい安心したことが、
自分でも意外だった。

 でも、もしも、あさひとアパートの前で
会ってしまったら、説明する暇さえもらえ
ず、いきなりアパートを出される雰囲気を
感じてたからだと思う。

 晴美が図書館に来た時のあさひの動揺と、
晴美の泣き出すしぐさを見て、到底二人の
間には入れないことを、私は悟った。

 と同時に、あさひと晴美が一緒に図書館
を出て行った時、例えようもない不安感に
襲われた。

 2人が手をとっている姿は、あたかも
前世からの運命のように自然で、苦難の末
にやっと出逢った恋人のように、お互いに
結ばれる運命だということを理解している
ことが、ひと目でわかった。
 それだけに、私が割り込む余地がなく、
あさひと話し合う余地が無いことが、硬い
岩に染みこむ一滴の水のように、あさひか
ら離れないと決めた私の固い決意を簡単に
打ち砕き、自分からあさひのアパートを出
ていかなければいけない衝動にかられてい
た。

image©“MOON ARTEMIS”

written by 透明(とうめい) ゆき

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この物語はフィクションです
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5月 13th, 2016 by