B:133ページ 不安 "母と妻と女の狭間(はざま)で・・・" 留学時代・同棲編

B:133ページ 不安 ”母と妻と女の狭間(はざま)で・・・” 留学時代・同棲編

不安

 寧子が、

「このままAshが戻ってこなかったら
どうするの?」

 それは、私が一番不安に思っていることで、
まだあさひの荷物が手付かずで残ってるとか、
私に無断で、消えるはずがないとか、いな
くならない理由を必死に考えてる自分がいた。

「大丈夫、Ashは黙っていなくならないよ。
ちゃんと帰ってくるから」

 寧子には自信たっぷりの口調で言って
見たものの、ほんとの所は、自信がなくて、
足が震えていた。

〈自分の心はごまかせない〉

それは、自分が一番わかっていること。

 それでも、寧子の優しさが嬉しくて、
徹夜明けのドロッとした朝のはずなのに、
心の中に爽やかなミントの香りが漂って
いるような清々しさを感じた。

 寧子にアパートの前まで送ってもらうと、

「それじゃ、一眠りして午後になったら、
またうちにおいで」

そう言って寧子は帰っていった。

〈もしかしたらあさひが帰ってきてるかも
しれない!〉

そう思うとドキドキしながら、アパートの
扉を開けると、部屋の中はガランとした
空洞で、人のいる気配はゼロだった。

〈はぁ~〉

 心の中でため息一つ。
でも、少しだけホッとしたのは、あさひの
荷物はそのままで、まだいなくなる気配は、
無かったことだった。
 ほんとうは、そんな後ろ向きの安心感は
嫌いだったけど、あさひが帰ってこない時間
は、それさえも私に安心感を与えてくれる
材料。
 それくらい私は不安に心を押し潰され
そうになっていた。

image © 壬丰

written by 透明(とうめい) ゆき

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この物語はフィクションです
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8月 22nd, 2016 by