P121~P130

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ズボン
2月 8th, 2016 by yuki.o

「そ、そんな事無いよ!
ほんと、そんな事ない!」

 ミチは、慌てて否定したけど、

「なんだ、残念。
せっかく迎えに来てくれたから、
あさひが来るまで、キスでもしようかな?
って、思ったんだけどな」

 私がそう言うと、

「マジ!やった!」

 そう言って、ズボンを脱ぎながら、
先に車へ乗り込んだ。

「やっぱり!アホなミチ!
どこにキスすると思ったの?
そんな事するわけ無いでしょ!」

 あまりに呆れたんで、そう言って家に入った。
ミチは、大慌てで私を引き留めようとしたけど、
脱ぎかけのズボンが邪魔で、うまく車から
降りられず、バタバタしていたけど、
私が、家に入ってしばらくしたら、
車のエンジンの音が遠ざかって行った。

「はぁー、呆れて物が言えない!」

 それが正直な感想。

image©“いくゾ~  やるゾ~ 頑張る象”

written by 透明(とうめい) ゆき

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この物語はフィクションです
写真・画像は参考のため、本文とは一切関係ありません
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カセットテープ
2月 8th, 2016 by yuki.o

「じゃあ、Paula Abdulとか、
Milli Vanilliとか、BLACK
Dance Musicある?」

 「え!、紗希ちゃんそんなの聞くの?
サザンとかにしなよ!」

〈はー、これ寧子から聞いたな〉

 私が、茅ヶ崎が地元って言うと、みんな
これだもの、うんざり。

「ミチ君ね、確かに私は茅ヶ崎が地元だけど、
サザンだって嫌いじゃないし聞くけど、
ほんとに好きなのは、Danceなの。
 クラブだって、アホみたいに通って
たんだから」
 
「え!うそ!マジ!不良じゃん」

「クラブ行ったからって、不良って、
いつの時代の話よ!
 私は、Danceが好きなの!」

「あー、そかー。
わかった。
 もう、誘わないよ」

「だいたいね、晴美がいた時は、晴美ちゃん
さすが!とか言ってって、晴美がいなくなった
からって、いきなり私のとこに来ないでよ!」

「う!」

 それきり、ミチは黙りこんで、いじけ始めた。

〈あー、これだから男って・・・〉

「そういう訳じゃないんだよ。
だからさ・・・」

「とか言って、結局やりたいだけなんじゃ
ないの?」

 この際だから、一気にまくし立てた。

image©“DENCA”

written by 透明(とうめい) ゆき

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ドア
2月 7th, 2016 by yuki.o

 いつもの様に、ホストのパパの迎えで
家に帰って、パッキングしてると、パパ
が、

“Hey, Saki, Your friend came to pick.”

 って、呼びに来た。

「あれ?まだ9時なのに、もうあさひが
迎えに来たのかな?
 早いな~!」

 と思って、急いで玄関に歩いて行った。
ドアを開けると、そこに立ってたのは、
なんと、すっごい笑顔のミチ君だった。

「支度出来た?」

 そう聞かれたけど、まだ途中だったんで、

「まだだよ。それに10時半にAshが迎えに
来る予定になってるんだけど?」

 私がそう言うと、ミチ君いきなり顔が
グレーに曇った。

「紗希ちゃんさ、俺の車で行かないか?」

 そう言うと、助手席のドアを開けた。
中には、お菓子がいっぱい入ってて、
なんだか、太りそうな感じ。

「ちゃんと、お気に入りのテープも用意
したし」

「それって、ミチ君のお気に入りでしょ?
私のお気に入り知らないでしょ?」
 
 そう言うと、

「いや、紗希ちゃんだって、絶対
気にいるって!」

 そう、ミチ君が言い張る。

image©“ナチュールホーム(大河建設株式会社)”

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後ろ姿
2月 6th, 2016 by yuki.o

 寧子が、

「まあ、Ashのアパートは歩いて5分だから、
みんなが集合する時間に、図書館出ても、
間に合うか」

 そう言った。
私も同感で、

「男は、持ち物も大してないだろうし、
準備だって簡単だもんね」

 って、2人で納得。
私達は、早く帰って、荷物をパッキング
しなくちゃいけないから、帰ることにした。

 そしたら、寧子がでっかい声で、

「Ash!紗季をホストに迎えに行って?」

叫んだ。

 そしたら、あさひが振り返って、

「わかった。何時?
10時半くらい?」

「そう、そんなもんでいいよ」

 それを聞くとあさひは、手を上げて、
図書館に吸い込まれていった。

「ほんとにバカが付くほど、真面目だね」

 寧子が言ったけど、私も同感。
でも、付き合うなら、真面目が一番だよね。

 飲む、打つ、買う、なんて三拍子揃ったら、
絶対にやめられないのは、よく聞く話。

 人間なんて、「心を入れ替えて」って
簡単に言うけど、人が変わることは本当に
難しい。

 私だって経験あるからね。

image©“Amateur.Qin(秦)”

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勉強
2月 6th, 2016 by yuki.o

 あさひの方を振り向くと、退屈そうに、
目の前にある、図書館の方を見ていた。

 そしたら、急に笑顔で手を振るから、
私も、あさひと同じ方を見ると、そこには、
ミキちゃんが手を降っていた。

 私は少し気持ちがグレーに曇ったけど、
とにかく今夜は、あさひとドライブだからと、
自分に言い聞かせた。

 授業も終わり、みんなそれぞれ夜の準備に
家に帰ると、私と寧子とあさひだけになった。

 あさひに、

「準備に家に帰るの?」

そう聞くと、

「帰るけど、図書館行ってからね」

との事。

 寧子が、

「えー、あと2,3時間で出発なのに、
まだ勉強すんの?」

 そう言ったけど、

「だから勉強すんの。
明日、は勉強できないでしょ?
もしかしたら、明後日も無理かも
だからだよ」

 そう言って笑った。

「なんか、そこまでしなくても
いいんじゃない?」

 私がそう聞くと、

「かもしれないけど、勉強好きだからね」

寧子が、

「変わってる!私なんか、30分も動かず
座っていたくないのに!」

「私もだよ!」

 そしたら、あさひは、

「でも早く大学に入りたいからね」

 そう言って笑いながら、
図書館に向かって歩き出した。

image©“Thomas Leuthard”

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つんつん
2月 5th, 2016 by yuki.o

 お昼休み、恒例のカフェでの話し合いで、
今日の具体的な話を決めた。

 って言っても、車の割り振りは決まって
いるから、集合時間とか、出発時間とか、
特に目新しくないことばかり。

 でも、一つだけ違ったのは、
横にあさひがいた事。

 普段なら、他の国からの留学生の
グループと一緒にお昼ごはんを食べて
るけど、今日ばかりは、私達”シアトル
でお寿司派”に所属。

 なんで、私達と一緒にいるわけで、
しかも、私の隣に座ってるわけ。

 寧子が小声で、

「なにニヤニヤしてんのよ?」

って、言いながら、人差し指で
私の脇腹を、ツンツン!

「やめてよ!そこ弱いんだから!」

「わかってますよ。
君は、そんなに嬉しいのかね?」

 寧子が、校長先生のマネをしながら、
さらにツンツン。

 耐え切れずに、体をよじって、
寧子から逃げると、ミチ君が、

「そこ!真面目に話してんだから、
遊ばない!」

 怒られた。
2人は顔を見合わせて、
ニッコリ。

 だって、嬉しいものはしょうが無い
じゃない?

image©“尾村椅子 “

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ゆきまろ
2月 5th, 2016 by yuki.o

 金曜日の朝。
今日はなんだか落ち着いてる。

 いつものように、週末にパーティーや
お出かけが控えていると、なんだか気持ちが
浮足立って、勉強どころじゃないんだけど、
今回に限っては、そんなこともなく、
不思議なくらい、落ち着いて勉強に集中出来てる
自分がここにいた。

 ふと、そんな自分に疑問を感じて、

〈なんでだろう?〉

そう、自問自答した。

 もちろん、今夜出発のシアトル行きは、とても
楽しみ。

 まして、あさひとロングドライブ。
これは何度も夢に見た光景。

 嬉しくないはずはない。
それはわかる。

 でも、私の心の中では、釈然としない何かが
くすぶっていて、それは私が、普段意識しない
心の深い部分に黒い霧に包まれて
存在していた。

 それが何なのか、いまの私には、
理解することは、出来なかった。

 それでも、勉強に集中できることは、
とても良いことで、おかげで過去最高に
授業の内容が理解できた。

 それは、まるで真夏の抜けるような
青空のように、空気はどこまでも澄み渡り、
宇宙の彼方まで見渡せるような爽快感を
感じた。

〈もしかして私って、出来る女だったのかも!〉

 そう思うと、今すぐにでも大学の授業を受け
たくなった。

image©“yukimaro”

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親友
2月 4th, 2016 by yuki.o

「だって、紗季が誰の車に乗りたいか、
わかってるし、紗季がミチさんの車に
乗ったら、Ashの車には誰も乗らないで
しょ?」

〈確かに!〉

 寧子(やすこ)は性格が、男前なだけに、繊細さに欠ける
とこがあって、人が隠しておきたいところも、
ドバっとぶちまけちゃったりするけど、本当は
人の気持ちに、人一倍敏感で、優しい子なんだよね。

「だから、一番丸く収まる方法を取った
だけだよ。それに、私は裏工作みたいの
嫌いだしね」

「さすが!寧子!」

私は、心から感心した。

「やっぱり寧子は親友だよ」

 そう言ったあと寧子を見ると、
たっぷり日を受けて健康そうなトマトのように、
照れて真っ赤な、とても男前とは思えない
寧子がそこにいた。

「うるさいなー、そんな事はどうでもいいんだよ」

 照れ隠しに、やっ気になってる、寧子は本当に
可愛い。

「じゃあ、私がAshの助手席ね」

「バカじゃないの?何度も言ってるでしょ?
いくら嬉しいからって、何度も確認しなくて
良いって」

 私の嬉しい気持ちが、伝わったみたいで、
寧子も満面の笑みで、喜んでくれてる。
それが、嬉しかった。

〈いよいよ明日、あさひとロングドライブだ!
今夜は眠れないかもしれないな。〉

image©“Girls Channel”

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内緒
2月 3rd, 2016 by yuki.o

 その場は、それで解散して、教室に戻る
途中寧子が、

「なにがあったか知りたい?」

そう、おっさん顔で聞いてきた。

 私は、寧子のおっさん顔を見る時は、
だいたい良いことではないから、

「いや、めんどくさそうだから
知らなくて良いよ」

そう言って断った。

 けど、それで止まる寧子じゃないのは
良く知ってる。

「じゃあ、教えてあげる」

 そう言って、話し始めた。

「ミチさんと私が、昨日の朝話してたの
知ってるでしょ?
 あの時ね、ミチさんが自分の車に紗季を
乗せるように頼んできたんだよ」

〈ああ、あの朝の話は、そーゆーことか〉

納得。

 寧子は続けて、

「だから、その時は『OK!』って言った
んだよ」

「でも、OKしたのに、なんでさっきは、
ミチ君に駄目出ししたの?」

 私は、律儀な寧子にしては、珍しいと
思って聞いた。

image©“Vive La Palestina”

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うそ
2月 3rd, 2016 by yuki.o

 いよいよ、明日が金曜日。
金曜の授業が終わってから、出発。

 道は簡単で初めWA-26Wを通ってから、
I-90Wに乗れば、あとは一直線。

 途中、ロッキー山脈越えがあるけど、
日本のような細かな峠道とは違って、
そんなに苦じゃない。

 お昼休みにカフェで、とりあえず、
誰が度の車に乗るか話していたら、
ミチ君が、

「女の子は2人なんだから、紗希ちゃんが
俺の車で、寧子ちゃんがしんのすけの
車に乗ればいいよね?」

そう言った。

 ま、あさひの車は誰も乗らないのが、
ミチ君の中では規定だと言うのは、
最初からわかっていたことだけど。

 そしたら、寧子が

「紗季はAshの車に乗りなよ!」

「え!そりゃないんじゃね?
だって昨日・・・」

ミチ君が慌てて否定した。

 寧子はそんなミチ君の態度は、まったく
無視で、

「はい、じゃ決まりね!」

あっさり締めてしまった。

 面食らったのは、ミチ君。
その後、寧子の腕を引っ張って、
どっか行った。

 私が、気にして2人が消えた方を
見ていると、10分位してから、
がっくり肩を落としたミチ君と、
そりゃもう、とても楽しそうな寧子が
戻ってきた。

image©“子供のいる主婦はパートの面接には受からない”

written by 透明(とうめい) ゆき

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