P131~P140

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かしば
2月 12th, 2016 by yuki.o

 その名もまねき(たぶん、現KASHIBA)。
シアトルじゃ、老舗のお寿司屋さんらしい。

 ここを選んだのは、しんのすけ。
なんでも、こっちに来て時間は経って
ないけど、すでに何回か来てるみたい。

「こんにちはー」

しんのすけを先頭にみんな入る。

「お、今日は大勢だねー」

 しんのすけはほんとに常連みたいで、
板さんが親しげに声を掛けた。

 みんなは、一目散にテーブルに着くと、
これまでが、けっこう大変な道のりだった
ためか、それとも、日本食に飢えてたのか、
席に座った途端、

「マグロ!」

 マグロの大合唱。
やっぱり、もう半年以上も日本食らしい
日本食を食べてなかったし、昨日の夜から、
食事らしい食事は、食べて無かったんで、
とにかく、注文が来るのが、待ち遠しかった。

 そんな私達の様子に板さん達が気が付いた
のか、私達が注文すると、間髪入れずに、
どんどん出てきた。

 それから1時間以上も、日本から空輸
したっていう正真正銘、真っ白な日本の
コシヒカリ
を、一心不乱に頬張った。

 しんのすけは、お酒まで飲んで、完全に
出来上がって、本当に気分が良さそう。

 私も、さすがにお腹いっぱいになってきて、
落ち着いてきた。

 その時、私達のテーブルに、あさひがいない
ことに気がついた。

「あれ?Ashは?」

written by 透明(とうめい) ゆき

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この物語はフィクションです
写真・画像は参考のため、本文とは一切関係ありません
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サークルK
2月 11th, 2016 by yuki.o

 そりゃそうだけどね。
あの時トイレしたのは、ミチだけだしね。

 でも、それからシアトルに着くまで
明るいトイレやコンビニはなく、道端に
車を停めて休憩しただけで、夜が明ける頃
には、街に着いていた。

 幸いなことに、私も寧子も、暗闇で用を
たすこと無く、漏らすこと無く、調子も崩さず、
無事、到着できた。

「はー、やっと着いたねー」

 早朝、24時間やってるサークルKを見つけて、
みんなでトイレと軽食。

 ミチが、

「寧子ちゃんと紗希ちゃんは、トイレ
あんまり行かないの?」

そう聞いてきた。

 そりゃね、休憩するたび、立ちション
していたミチにはわからないだろうけど、
基本的に女の子は、トイレは近いの。

 でも、今回はどうなるかわからないから、
なるべく飲み物控えたり、気を使ってたの。

 これだからミチは。
そしたらあさひが、

「ま、トイレの事もあるし、帰りはできる
だけ明るいうちに、出発しよう」

 そう言った。
やっぱり、あさひは優しいな。

 そして、24時間やってるモーテル探して、
チェックイン。

 ああ、モーテルって言っても、一般的な、
そう、日本だとビジネスホテルね。

 それから、みんなで軽く仮眠してから、
いよいよお寿司屋さんへ。

image©“wikipedia”

written by 透明(とうめい) ゆき

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小便小僧
2月 11th, 2016 by yuki.o

 そんなやり取りの最中、ミチが、

「こえー!真っ暗で自分がどこにいるか、
まったくわかんない!」

 そう言いながら、暗闇から車のライト
の所に、戻ってきた。

 寧子が、どこに言ってたか聞くと、
当たり前のように、

「ションベン」

そう、立ちション。

 当然寧子は、

「バカ!自分だけでいいのか?」

って怒ったら、

「じゃ、寧子ちゃんもしたら?
怖かったら、俺が一緒に行ってあげるよ?」

真顔で言った。
ミチはそういう奴。

 もちろん、寧子は呆れて、

「はぁー、もういい!早く行こ!」

そう言いながら車に乗った。

 そしたらあさひが、

「今度は俺が先頭になるから」

 そう言って、車に乗り込み、出発。
私も、さっきのやり取りを思い出し、

「ミチは悪い人じゃないんだけど、
いまいち、人の気持ちがわからない
とこあるんだよねー」

そう言った。

 それを聞いてあさひは、

「へー、そうなんだ。
俺はあんま知らないからな。
 でもミチが言うのも、間違ってはいない
からね。
 最悪、調子を崩す前に、トイレじゃ
なくてもしかたないから、出しといた方が
いいかな」

確かにね。

image©“Saitama Prefecture.”

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女子便所
2月 11th, 2016 by yuki.o

 いよいよ、耐えられなくなったんで、
あさひにテープを変えてもらおうと思ったら

「さすがに休憩しないとまずいな」

 前を指差しながら、そう、あさひが言った。
あさひが指差す方を見ると、しんのすけの
車が、ゆらゆら左右に揺れていた。

 次の瞬間、あさひが一気にアクセルを踏んで、
しんのすけとミチの車を追い越して、一番前に
出た。

 あさひが一番前に出ると、そのままゆっくり
減速して、道の端に止まる。

 そのまま車から降りて、ミチの車の方へ行くと

「けっこう走ったから、ちょっと休憩しよう」

そう言って、しんのすけの車にも同じことを
言いに行った。

「寧子ちゃん、トイレは?」

 あさひが、そう聞くと寧子は、

「こんな真っ暗で、どこにトイレあんの?」

ちょっと怒り気味に寧子が言った。

「ま、トイレはないけど、真っ暗だから」

 さらりとあさひは言ったけど、女の子は、
そんな真っ暗闇で、トイレは出来ません。
なにが出てくるか、わからないでしょ?
恐いよ。

 ってか、アメリカでは公衆トイレに、
おばさんとかが立ってて、お金を取る
代わりに、自分で焼いた(たぶん)クッキー
くれたりする。

 どうやら、そのおばさんが公衆トイレを
清掃してるらしく、そういうところは、
綺麗で、かなり安全。

 じゃない、街なかの公衆トイレは、
特に女子の個室は危なくて、とても
じゃないけど、入れないよ。

 そしたら、寧子が、

「まだ平気。
我慢出来るよ!
紗季はどう?」

「私も、まだ平気」

 そしたらしんのすけが、

「次コンビニあったら、
止まるからね」

そう言ってくれた。

image©“徒然道草・・・してばかり♪”

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ギター教室
2月 11th, 2016 by yuki.o

 私は内心焦った!
何しろ日本でヘビメタは革ジャンロン毛の、
印象最悪。

 なんだか、ギター抱えて自己陶酔してる姿が
笑えるんだもの。

 もちろん私は嫌いだった。
とは言え、私の好きなあさひが、私の嫌いな
ヘビメタ好きなんて!

「俺、こっちでギター教えてるんだ」

「え!ギターの先生なの?」

「ってか、アメリカンの友達がギター弾いてる
けど、うまくならないから、教えろ?
って、言い出したんで、それ以来口コミで
生徒が増えた。
 今は、3人くらいかな?」
 
 
 そう言えば、あさひのアパートに、
エレキギターが置いてあった!
そういう事だったのか!

 でも、困った。
あさひが好きなんだから、
ちょっと我慢して聞いてみないと。

 それからしばらくヘビメタ聞いてた。
あさひによると、DOKKEN、MSG、Ratt、
White Lion。

 
 ダメだった。
まあ、慣れてきたけど、それだけ。

image©“エレガントアカデミー”

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ヘビメタ
2月 10th, 2016 by yuki.o

「そろそろ、出発して2時間超えたから、
一回様子見に、休憩したほうが良いんだけどな」

 あさひが、そう言ったものの、道路は相変わらず、
真っ暗。
 出発してから二時間以上経ったけど、
ただの1台もすれ違う車はなく、
日本だったら嫌ってほど目にする、コンビニ
もなく、高速に付き物のサービスエリア
もゼロ。

 ひたすら真っ暗闇の中を突き進む、
まるで地獄へのドライブのようだった。

 そしたら、あさひが前を走っている、
しんのすけの車に、ピカピカって、
パッシングをした。

 でも、疲れているのか、前しか見てない
からか、それに気がつくこともなく、
前の2台は、ひたすら走り続ける。

「まあ、3時間くらいは大丈夫かな」

 あさひは、そうつぶやきながら、カーステに
カセットを入れた。

 次の瞬間、聞こえた音楽は、Heavy Metal。
いきなりがっつり、ハードなギターが流れ始めた。

「なにこれ、ヘビメタ?」

私が聞くと、

「違うよ、Heavy Metalだよ」

「え?だからヘビメタでしょ?」

「・・・。
まあ、いいけど」

 どうやら、ヘビメタじゃなくて、
ヘビー・メタルじゃないといけないみたい。
変てこなこだわりだよね?

「これはDOKKEN、George Lynchのギター、
めっちゃカッコイイ!」

〈し、知らない!〉

image©“Beautiful Life(mvovm)”

written by 透明(とうめい) ゆき

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2月 10th, 2016 by yuki.o

 先頭はミチ。
真ん中がしんのすけで、最後があさひ。

 アメリカの道は、街灯なんかまったく無くて、
たとえ、そこがインターステート・ハイウェイ
だったとしても、車のライトに照らされた先
だけが明るい。

 だから、前も後ろも、右も左も、真っ暗な闇。
そんな、真っ暗な闇を走っていると、今、自分が
走っているのか、止まっているのか、
それさえもわからなくなる。

 ただ、エンジンの音と、下から聞こえる、
タイヤの音だけが、走っている実感として、
感じられるだけ。

 ほんとに世界が滅んで、私とあさひだけが
生き残った、まるでSFの世界のよう。

 そしたら、あさひが、

「道はほとんど真っ直ぐだから、間違えようは
ないけど、単調なだけに、疲労が感じられなくて、
危ないんだよな」

「Ashは運転慣れてるの?」

「俺は日本で趣味でレースやってたから、
嫌になるほど車走らせてたよ。
 それ以外でも、毎日峠に行って、ひたすら
走り回ってた」

「へー意外。それなら、こっちに来てからすぐに
車乗りたいと思わなかったの?」

「車は、単なる道具だから、必要なければ、
乗らないよ。貧乏で、お金も無かったしね」

「でも、車がないと、食事には困ったでしょ?」

「あー、あれは困ったんで、さすがに車買ったよね。
まあ、買ってしまえばこっちはガソリン安いし、
毎日乗るけどね」

 そんな話をしながら、時計を見ると、もう
午前1時を過ぎていた。

written by 透明(とうめい) ゆき

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スペイン
2月 10th, 2016 by yuki.o

 どうだろう、それから10分位したら、
やっと2人で登場した。

「やあ、やあ、みなさんおまたせ!」

 そう、にこやかに言いながら、はじめに
ミチが車から降りてきて、次に助手席の、
ドアを開けると、寧子が登場。

 寧子になんで遅くなったか聞いてみると、

「ミチさんが、アホなだけ。
あんたなら大体分かるでしょ?」

 そう言った。

〈あ、やっぱり〉

 私が、

「ミチはズボン脱いだ?」

って、聞いたら、

「私んとこには、あんたのこと相談に来たんだよ!」

〈ああ、ズボン脱いだのは私だけか〉

 そう、理解した。
寧子は、私に小声で

「めんどくさいから、ミチさんの話は、
これでおしまいね!」

 そう言って、みんなに

「さ、出発しよう!」

 って、言いながら、車に乗り込んだ。
それを聞いてみんなも、予定の車に乗って、
やっと出発!

 時間はもう、11時過ぎてた。

「出んのおせーな。
夜は危ないから、できるだけ早めに
出たかたんだけどな」

 あさひがそう言ったものの、
いまさらねー。

image©“Hugo Díaz-Regañón”

written by 透明(とうめい) ゆき

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家族
2月 9th, 2016 by yuki.o

 パパは

「彼は、礼儀正しい青年だね。
是非また呼んであげなさい!」

だって。

 なんと、私のホストのパパとママには、
素晴らしい評価。
 
 私も、自分の事のように、すごく嬉しかった。

〈やっぱりあさひは凄いなー〉

 私は、ほんとに嬉しくって、とっても
幸せな気分になった。

 それから、荷物を車に詰めて、いざ出発。
パパとママに見送られて、ホストを後にした。

「本当に良いホストだね!」

 あさひが褒めてくれると、私も嬉しい。

「そうでしょ?だから学校から遠いけど、
他のホストに移りたくないのよ」

 そう言った。

 集合場所の、あさひのアパートの前にある、
病院職員の駐車場には、ミチと寧子以外の
全員としんのすけの車が待っていた。

「あれ、ミチと寧子は?」

 私がそう聞くと、しんのすけが、

「さっきまでいたけど、ミチ君が急に
『寧子ちゃん、迎えに行ってくる』
って言いながら行ったきり、帰って
こないんだよ」

 そう言った。

〈あー、またミチが寧子にくだらない相談
してるんだな。
 ほんとに、ミチはアホだよね。
いくらなんだって、これから出発って時に、
わけの分かんないことやるんだから。
救いようがないわ〉

 そうは思ったけど、もう出発時間だし、
これから寧子ん家に迎えに行って、
すれ違っても、めんどいから、もう少し
待ってみることにした。

image©“imagenesgratisonline”

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握手
2月 8th, 2016 by yuki.o

 それからしばらくして、パッキングが
終わった頃に、今度はホストのママが、

“Saki, came friends, probably there is an Asahi?”  

 そう言って、ニコニコしながら私の部屋に
入ってきた。

 いつもママにあさひの事を話してたから、
ママもあさひに興味があったみたいで、
初めてあさひと会って、少し立ち話したみたいで、
かなり気に入っていた。

 ま、初めに会ったのがミチで、しかも
ミチは英語が苦手なんで、うまく話せな
かったらしくて、ママの印象はいまいち。

 でも、あさひは普通に英語で話せて、
気遣いができるやつだったみたいで、
ママは、

「今度遊びに連れて来なさい?」

 だって。
なんだか親って、万国共通なのかな?

 玄関があるリビングに行くと、そこであさひは
コーヒーを飲みながら、パパと話していた。

 パパは車好きで、あさひの車X1/9の事について
根掘り葉掘り聞いていた。

 私がリビングに行くと、あさひが立ち上がって、

”Nice meeting you.”

そう言って、パパと握手をした。

image©“Nomadic Lass”

written by 透明(とうめい) ゆき

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